平成27年秋期試験問題 午前Ⅱ 問23

マルチプロセッサによる並列処理において,1プロセッサのときに対する性能向上比はアムダールの法則で説明することができる。性能向上比に関する記述のうち,適切なものはどれか。

〔アムダールの法則〕
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  • プロセッサ数が一定の場合,性能向上比は並列化可能部の割合に比例する。
  • プロセッサ数を増やした場合,性能向上比は並列化可能部の割合に反比例する。
  • 並列化可能部の割合が0.5の場合は,プロセッサ数をいくら増やしても性能向上比が2を超えることはない。
  • 並列化可能部の割合が最低0.9以上であれば,性能向上比はプロセッサ数の半分以上の値となる。
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分野:テクノロジ系
中分類:システム構成要素
小分類:システムの構成
解説
問題文に式が与えられているのでこれを利用して各記述を検証します。
  • プロセッサ数を10で固定し、並列化可能部の割合(r)を変化させてみると

    [r=0.1] 性能向上比=1/0.91≒1.10
    [r=0.5] 性能向上比=1/0.55≒1.82
    [r=0.9] 性能向上比=1/0.19≒5.26

    というように比例関係ではありません。
  • プロセッサ数と並列化可能部の割合は、どちらも大きくなった方が性能向上比も高まる関係にあります。
  • 正しい。性能向上比が2を超えるためには、右辺の分母が0.5未満である必要があります。しかし並列化可能部の割合が0.5の場合の右辺の分母は、

     (1-0.5)+0.5/プロセッサ数
    =0.5+0.5/プロセッサ数

    というように常に0.5以上になります。このため性能向上比が2を超えることはありません。
  • 並列化可能部の割合が0.9、プロセッサ数100台の場合を考えてみると、

     1/((1-0.9)+0.9/100)
    =1/(0.1+0.009)
    =1/0.109
    =9.1743…

    というように性能向上比はプロセッサ数(100台)の1/10程度までしか向上しません。アムダールの法則は、たとえプログラムの95%が並列化可能部であり、どれだけプロセッサ数を増やせたとしても元の性能の20倍以上には高速化しないことを示しています。したがって記述は誤りです。

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